getifaddrs, freeifaddrs -
インターフェースのアドレスを取得する
#include <sys/types.h>
#include <ifaddrs.h>
int getifaddrs(struct ifaddrs **ifap);
void freeifaddrs(struct ifaddrs *ifa);
getifaddrs()
関数は、ローカルシステムのネットワークインターフェース情報を表す構造体の連結リストを作成し、
リストの先頭の要素のアドレスを
*ifap に格納する。
リストは
ifaddrs
構造体で構成される。
ifaddrs
構造体は以下のように定義されている。
struct ifaddrs {
struct ifaddrs *ifa_next; /* Next item in list */
char *ifa_name; /* Name of interface */
unsigned int ifa_flags; /* Flags from SIOCGIFFLAGS */
struct sockaddr *ifa_addr; /* Address of interface */
struct sockaddr *ifa_netmask; /* Netmask of interface */
union {
struct sockaddr *ifu_broadaddr;
/* Broadcast address of interface */
struct sockaddr *ifu_dstaddr;
/* Point-to-point destination address */
} ifa_ifu;
#define ifa_broadaddr ifa_ifu.ifu_broadaddr
#define ifa_dstaddr ifa_ifu.ifu_dstaddr
void *ifa_data; /* Address-specific data */
};
ifa_next
フィールドにはリストの次の構造体へのポインターが格納される。
この要素がリストの最後の場合には
NULL が入る。
ifa_name
はヌル終端されたインターフェース名を指す。
ifa_flags
フィールドには、
SIOCGIFFLAGS ioctl(2)
操作で返されるインターフェースのフラグが格納される
(これらのフラグのリストについては
netdevice(7) を参照)。
ifa_addr
フィールドは、インターフェースのアドレスを格納した構造体へのポインターである
(
sa_family
サブフィールドを参照して、アドレス構造体の形式を判別すべきである)。
このフィールドはヌルポインターとなる場合がある。
ifa_netmask
フィールドには、
ネットマスクがあるアドレスファミリーであれば、
ifa_addr
に関連付けられたネットマスクを格納した構造体へのポインターが入る。
このフィールドはヌルポインターとなる場合がある。
ifa_flags にビット
IFF_BROADCAST か
IFF_POINTOPOINT
のどちらが設定されているかにより
(同時にはこれらのどちらか一方だけが設定される)、
ifa_broadaddr に
ifa_addr
に対応するブロードキャストが入るか
(そのアドレスファミリーでブロードキャストがある場合)、
ifa_dstaddr に point-to-point
インターフェースの宛先アドレスが入るかが決まる。
ifa_data フィールドは、
アドレスファミリー固有のデータが入ったバッファーへのポインターである。
そのインターフェースでこのようなデータがない場合には、
このフィールドは NULL
となる。
getifaddrs()
が返すデータは動的に確保される。
必要なくなった際には
freeifaddrs()
を使って解放すべきである。
成功すると、
getifaddrs は 0
を返す。
エラーの場合、 -1
が返り、
errno
が適切に設定される。
getifaddrs()
は失敗する場合があり、その場合には
errno には
socket(2),
bind(2),
getsockname(2),
recvmsg(2),
sendto(2),
malloc(3),
realloc(3)
に対して規定されているエラーのいずれかが設定される。
getifaddrs() 関数は glibc 2.3
で初めて登場したが、
glibc 2.3.3
より前のバージョンの実装では
IPv4
アドレスだけがサポートされていた。
IPv6 のサポートは glibc 2.3.3
で追加された。 IPv4
以外のアドレスファミリーが
getifaddrs
で利用できるのは、
netlink
をサポートするカーネルの場合だけである。
この節で使用されている用語の説明については、
attributes(7) を参照。
インターフェース |
属性 |
値 |
getifaddrs(), freeifaddrs() |
Thread safety |
MT-Safe |
POSIX.1 にはない。
この関数は BSDi
で初めて登場し、 BSD
系のシステムに存在するが、
ドキュメント上はかなり動作が異なり、アドレス毎ではなくインターフェース毎に
1 エントリーを返す。
このことは、
インターフェースがアドレスを持たない場合には
ifa_addr
や他のフィールドは実際に
NULL になり、
インターフェースに IP
アドレスが割り当てられている場合には
リンクレベルのアドレスは返されない、ということを意味する。
また、
ifa_broadaddr と
ifa_dstaddr
のどちらを選択するかを決める方法は、
システムにより異なる。
Linux では、
返されるアドレスは通常インターフェースに割り当てられた
IPv4 アドレスと IPv6
アドレスになるが、
これ以外にインターフェース毎に一つ
AF_PACKET
アドレスも返される。
AF_PACKET アドレスには、
インターフェースとその物理層に関する低レベルの詳細が格納される。
この場合、
ifa_data
フィールドには、
<linux/if_link.h>
で定義される
struct rtnl_link_stats
(Linux 2.4 以前では
<linux/netdevice.h>
で定義される
struct
net_device_stats)
へのポインターが格納される。
この構造体には、インターフェースの様々な属性や統計情報が入る。
以下のプログラムは
getifaddrs(),
freeifaddrs(),
getnameinfo(3)
の使用例である。
以下はこのプログラムをあるシステムで実行した際の出力である。
$ ./a.out
lo AF_PACKET (17)
tx_packets = 524; rx_packets = 524
tx_bytes = 38788; rx_bytes = 38788
wlp3s0 AF_PACKET (17)
tx_packets = 108391; rx_packets = 130245
tx_bytes = 30420659; rx_bytes = 94230014
em1 AF_PACKET (17)
tx_packets = 0; rx_packets = 0
tx_bytes = 0; rx_bytes = 0
lo AF_INET (2)
address: <127.0.0.1>
wlp3s0 AF_INET (2)
address: <192.168.235.137>
lo AF_INET6 (10)
address: <::1>
wlp3s0 AF_INET6 (10)
address: <fe80::7ee9:d3ff:fef5:1a91%wlp3s0>
#define _GNU_SOURCE /* To get defns of NI_MAXSERV and NI_MAXHOST */
#include <arpa/inet.h>
#include <sys/socket.h>
#include <netdb.h>
#include <ifaddrs.h>
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <unistd.h>
#include <linux/if_link.h>
int main(int argc, char *argv[])
{
struct ifaddrs *ifaddr;
int family, s;
char host[NI_MAXHOST];
if (getifaddrs(&ifaddr) == -1) {
perror("getifaddrs");
exit(EXIT_FAILURE);
}
/* Walk through linked list, maintaining head pointer so we
can free list later */
for (struct ifaddrs *ifa = ifaddr; ifa != NULL;
ifa = ifa->ifa_next) {
if (ifa->ifa_addr == NULL)
continue;
family = ifa->ifa_addr->sa_family;
/* Display interface name and family (including symbolic
form of the latter for the common families) */
printf("%-8s %s (%d)\n",
ifa->ifa_name,
(family == AF_PACKET) ? "AF_PACKET" :
(family == AF_INET) ? "AF_INET" :
(family == AF_INET6) ? "AF_INET6" : "???",
family);
/* For an AF_INET* interface address, display the address */
if (family == AF_INET || family == AF_INET6) {
s = getnameinfo(ifa->ifa_addr,
(family == AF_INET) ? sizeof(struct sockaddr_in) :
sizeof(struct sockaddr_in6),
host, NI_MAXHOST,
NULL, 0, NI_NUMERICHOST);
if (s != 0) {
printf("getnameinfo() failed: %s\n", gai_strerror(s));
exit(EXIT_FAILURE);
}
printf("\t\taddress: <%s>\n", host);
} else if (family == AF_PACKET && ifa->ifa_data != NULL) {
struct rtnl_link_stats *stats = ifa->ifa_data;
printf("\t\ttx_packets = %10u; rx_packets = %10u\n"
"\t\ttx_bytes = %10u; rx_bytes = %10u\n",
stats->tx_packets, stats->rx_packets,
stats->tx_bytes, stats->rx_bytes);
}
}
freeifaddrs(ifaddr);
exit(EXIT_SUCCESS);
}
bind(2),
getsockname(2),
socket(2),
packet(7),
ifconfig(8)
この man ページは Linux
man-pages
プロジェクトのリリース
5.10
の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
https://www.kernel.org/doc/man-pages/
に書かれている。