hwclock -
ハードウェア・クロック
(RTC)
の読み取りと設定を行う
hwclock -r or
hwclock --show
hwclock -w or
hwclock --systohc
hwclock -s or
hwclock --hctosys
hwclock -a or
hwclock --adjust
hwclock -v or
hwclock --version
hwclock --set --date=newdate
hwclock --getepoch
hwclock --setepoch --epoch=year
その他のオプション:
[-u|--utc] --localtime --noadjfile --directisa --test [-D|--debug]
DEC Alpha
用の知る人ぞ知るオプション:
[-A|--arc] [-J|--jensen] [-S|--srm] [-F|--funky-toy]
すべてのオプションは他と区別がつく範囲において短縮することができる。
また -h
はヘルプメッセージを表示する。
hwclock
はハードウェア・クロックにアクセスするためのツールである。
現在の時刻の表示、指定した時刻へのハードウェア・クロックの設定、
ハードウェア・クロックをシステム時刻に合わせる
(およびその逆)、
といった機能を持つ。
hwclock
を定期的に実行し、ハードウェア・クロックの時間を増減して、
時計の規則的なずれ
(systematic drift)
を補償することもできる
(systematic drift
とは、クロックが放っておかれたとき、
経過時間に比例して時刻がずれる現象のこと)。
以下のオプションは
hwclock
にどの機能を実行するかを伝えるもので、必ず一つだけを指定する。
- --show
- ハードウェア・クロックを読んで時刻を標準出力に表示する。
ここで表示される時刻は常にローカル・タイムである。
ハードウェア・クロックを協定世界時にしていても表示はローカル・タイムである。
--utc
オプションの部分を参照すること。
- --set
- ハードウェア・クロックを
--date
オプションによって指定した時刻に設定する。
- --hctosys
- ハードウェア・クロックでシステム・クロックを合わせる。
同時にカーネルが持つタイムゾーンの値も
ローカルのタイムゾーンにセットする。
このとき TZ
環境変数や /usr/share/zoneinfo
の内容を tzset(3)
と同じように解釈して参照する。
カーネルのタイムゾーンの
obsolete
なフィールドである
tz_dsttime は DST_NONE
に設定される。
(このフィールドがかつて意味していた内容に関しては
settimeofday(2)
を参照のこと。)
このオプションはシステムの起動スクリプトの一部で用いるとよい。
- --systohc
- 現在のシステム・クロックでハードウェア・クロックを合わせる。
- --adjust
- 最後にハードウェア・クロックを合わせた時点からの経過時間に対して生じる、
時計の規則的なずれを補償するために、
一定の時間をハードウェア・クロックの時刻から増減する。
詳細は以下の議論を参照のこと。
- --getepoch
- 標準出力に、カーネルが保持しているハードウェア・クロックの紀元年
(epoch value) を表示する。
これは西暦の何年が、ハードウェア・クロックの
0
年として参照されるかを示す数値である。
例えば、ハードウェアクロックの年カウンタに
1952
年以降の経過年数を用いている場合には、
カーネルでのハードウェア・クロック紀元年は
1952
でなければならない。
この紀元年の値は、
hwclock
がハードウェア・クロックを読み書きするとき常に用いられる。
- --setepoch
- カーネルのハードウェア・クロック紀元年の値を
--epoch
オプションで指定した値に設定する。
詳細は --getepoch
オプションの説明を見よ。
- --version
-
hwclock
のバージョンを標準出力に表示する。
- --date=date_string
-
--set
オプションを指定した場合は、このオプションも指定しなければならない。
--set
オプションが指定されていなければ、このオプションは無視される。
ハードウェア・クロックを合わせる時刻を指定する。
このオプションに与える値は
date(1)
プログラムの引数と同じである。例えば以下のようにする。
hwclock --set --date="9/22/96 16:45:05"
引数はローカルタイムで与える。
ハードウェア・クロックを協定世界時にしている場合でも、である。
--utc
オプションの部分を見よ。
--setepoch
オプションを指定した場合は次のオプションも必要である。
- --epoch=year
- ハードウェア・クロックの紀元年を指定する。
すなわち西暦年のいつが、
ハードウェア・クロックの年カウンタの
0
に対応するかを指定する。
このオプションは、--setepoch
オプションとともに使った場合、
カーネルの概念であるハードウェア・クロックの紀元年を設定する。
--setepoch
オプションとともに使わない場合は、
直接 ISA
アクセスに用いられる紀元年を指定する。
例えば、Digital Unix
マシンでは以下のようにする。
hwclock --setepoch --epoch=1952
次のオプションはほとんどの機能と同時に用いることができる。
- --utc
- --localtime
- ハードウェア・クロックを協定世界時
(Universal Coordinated Time: UTC) と
ローカルタイムのどちらにするか
(しているか)
を指定する。 UTC
にするかローカルタイムにするかはユーザの選択しだいだが、
時計の内部にはどちらを選択したかを記録する場所はない。
したがって、ユーザーはこのオプションで自分の選択を
hwclock
に伝えなければならない。
これらの指定を間違ったほうにしたり
(あるいはデフォルトを勘違いして
両方とも指定しなかったり)
すると、ハードウェア・クロックの設定や
クロックへの問い合わせの結果はめちゃめちゃになってしまうだろう。
--utc も --localtime
も指定しなかった場合のデフォルトは、最後に
hwclock
を使って時計を合わせたとき
(つまり --set, --systohc, --adjust
オプションを指定しての実行が成功したとき)
に指定していた方になる。
このときの選択は adjtime
ファイルに記録されている。
adjtime
ファイルがなかったときのデフォルトはローカルタイムになる。
- --noadjfile
-
/etc/adjtime
によって提供される機能を無効にする。
このオプションを使うと、
hwclock は /etc/adjtime
の読み込みも書き込みもしない。
このオプションを使うときは、
--utc または --localtime
を指定しなければならない。
- --directisa
- このオプションは、ISA
マシンまたは (hwclock
から充分 ISA
マシンに見える程度
ISA の仕様を実装した)
Alpha
マシンでのみ意味を持つ。
他のマシンでは効果がない。
このオプションは
hwclock
に指令して、ハードウェア・クロックへのアクセスに
直接 I/O
命令を用いるようにさせる。このオプションを指定しないと、
hwclock は /dev/rtc
デバイスを用いようとする
(/dev/rtc が rtc
デバイスドライバ
で駆動されていることを仮定する)。デバイスを読み込みオープンできない場
合は、いずれにせよ直接
I/O 命令を用いる。
rtc デバイスドライバは
Linux リリース 2
から現れた。
- --badyear
- ハードウェア・クロックが、1994-1999
年の外側の年を保持できないことを示す。
ある種の BIOS
には問題があり (4/26/94
から 5/31/95
の間に生産されたほとんどの
Award BIOS がそうである)、 1999
年以降の年を扱うことができないのである。世紀内の年の部分を
94 未満
(場合によっては 95
未満)
に設定しようとすると、
実際には 94 (または 95)
が設定されてしまう。
このようなマシンでは、
hwclock は年を 1999
以降に設定できず、またクロックの値を
通常のように正しい値としては用いることができない。
本当は BIOS
を更新するのが絶対に良いが、そうできない場合に
この問題を補償するには、これらのマシンを用いるとき、常に
--badyear
オプションを指定すること。
hwclock
は、自分が頭のイカれたクロックを扱っていることを知ると、
ハードウェア・クロックの年の部分を無視し、
adjtime
ファイルの「最終時計合わせ日付」から
現在の年を推定しようとする。この動作を行わせたい場合には、
hwclock --set または hwclock --systohc
を少なくとも年に一回は実行するほうが良いだろう!
hwclock
は、ハードウェア・クロックの読み込み時には年の値を無視するが、
設定時には年も設定する。これは
1995, 1996, 1997, 1998 の
いずれかとなり、閏年のサイクルに合う年が選択される。
このようにして、ハードウェア・クロックに閏日を挿入させるのである。
繰り返すが、ハードウェア・クロックを設定せずに一年以上
動作させつづけると、この機能が動作せず、一日を失うことになる。
ハードウェア・クロックが
1994 または 1995
になっていると、
hwclock は --badyear
が必要ではないか、という警告を発する。
- --srm
- このオプションは
--epoch=1900 と等しく、 SRM
コンソールの Alpha
で最も一般的な紀元年を指定するのに使われる。
- --arc
- このオプションは
--epoch=1980 と等しく、 ARC
コンソールの Alpha
で最も一般的な紀元年を指定するのに使われる
(ただし Ruffians では 1900
を紀元年にしている)。
- --jensen
- --funky-toy
- これら 2
つのオプションは、
使っている Alpha
マシンがどのような種類のものであるか指定する。
Alpha
以外では無効だし、Alpha
でも
実際には指定しなくても良いだろう。
hwclock
は自分が動作しているマシンの種類を自分で決定できるはずである
(最低でも /proc
がマウントされていれば)。
(hwclock
が正しく動作しないことがわかった場合には、
メンテナに連絡して、あなたのシステムを自動検知できるように
プログラムを改良できないか相談してみてほしい。
`hwclock --debug' と `cat /proc/cpuinfo'
の出力が役立つかもしれない。)
--jensen は、Jensen
モデルを動作させていることを意味する。
--funky-toy
は、そのマシンでは時間の遷移の検知にハードウェア・クロックの
UIP ビットではなく UF
ビットが使われていることを意味する。
オプション名の "Toy"
は、マシンの "Time Of Year"
機能からとったものである。
- --test
- 実際のハードウェア・クロックの更新
(およびそれに類する)
作業をのぞき、
すべての動作を行う。
このオプションは
--debug
と組み合わせると
hwclock
の動作を理解する上で有用であろう。
- --debug
-
hwclock
が内部で行っている動作に関して大量の情報を表示する。
一部の機能は複雑であるが、この出力はプログラムの動作を
理解する上で助けになるだろう。
Linux
システムには主要な時計が
2 つ存在する。
ハードウェア・クロック:
これは CPU
内部で動作しているすべてのコントロールプログラムから
独立しており、マシンの電源が
OFF
のときにも動作している。
ISA
システムでは、このクロックは
ISA
規格の一部として定義されている。
コントロールプログラムはこの時計に対して
1
秒単位で読み書きできるが、
秒針の変化を検出することもできるので、
実際には仮想的に無限大の精度を持っていることになる。
この時計は一般にハードウェア・クロック、リアルタイム・クロック、RTC、
BIOS クロック、CMOS
クロックなどと呼ばれる。
hwclock
では「ハードウェア・クロック
(原文では Hardware
Clock)」を用いる。
他の名前は不正確だったり誤解のもとになるからである。
システム・クロック:
これは Linux
カーネルの内部に存在している時計で、
タイマ割り込みによって駆動されている
(ISA
システムでは、タイマ割り込みは
ISA 標準の一部である)。
すなわち Linux
が起動している間しか動作しない。
システム時刻は UTC 1970/01/01
00:00:00
からの経過秒数である
(より簡単に言えば 1969
年終了後の経過秒数である)。
しかしシステム時刻は整数ではなく、仮想的に無限大の精度を持っている。
Linux
ではシステム・クロックがすべての基準となる時計である。
ハードウェア・クロックの基本的な役割は、システムが動いていない間にも
時計を動かしつづけることである。
Linux
システムは起動時に一度だけハードウェア・クロックを参照し、
システム・クロックを設定する。
その後はハードウェア・クロックは用いない。
ISA
システムの設計対象であった
DOS においては、
ハードウェア・クロックがただ一つの実時間時計であることに注意すること。
システム・クロックには不連続が存在してはならない。
これはシステムが走っている間に
date(1)
プログラムを実行して時計を合わせるような場合でも同様である。
一方ハードウェア・クロックには、システムの実行中にでも何を行ってもよい。
次回 Linux
が起動したときに、
ハードウェア・クロックからこの調整された時間が使用される。
システムが走っている間にシステム・クロックをスムースに修正するには
adjtimex(8)
を用いることもできる。
Linux
カーネルは、システムのローカルなタイムゾーンという概念を持っている。
しかし注意してほしい
--
「カーネルが自分をどのタイムゾーンにいると思っているか」など、
誰も気にしていないのである。代わりに、タイムゾーンに関るプログラム
(おそらくローカルな時間を表示しようとしているもの)
は、
ほぼ間違いなく従来用いられてきた方法でタイムゾーンを決定する。
つまり TZ 環境変数や
/usr/share/zoneinfo
ディレクトリを、
tzset(3)
で説明されているようなやり方で参照するのである。
しかしカーネルのタイムゾーンの値を見るプログラムも存在するし、
カーネルの周辺部分
(ファイルシステムなど)
もこちらを参照する。
vfat
ファイルシステムなどがそうである。カーネルのタイムゾーンの
値が間違っていると、vfat
ファイルシステムはファイルのタイムスタンプの
設定・取得を間違ってしまう。
hwclock は
--hctosys
オプションでシステム・クロックをセットするとき、
カーネルのタイムゾーンも
TZ や
/usr/share/zoneinfo
の値に設定する。
タイムゾーンの値は実際には
2 つの部分からなる。 1)
tz_minuteswest フィールド: (DST
でない)
ローカルタイムが UTC
から何分遅れているかを表す。
2) tz_dsttime: 夏時間 (DST)
の形式を表し、
現在地の現在時刻に影響する。
この 2
番目のフィールドは Linux
では用いられず、常に
0 となる。 (
settimeofday(2)
も参照のこと。)
hwclock
はハードウェア・クロック時刻の取得や設定に、いろいろな方法を用いる。
もっとも普通のやり方は、デバイススペシャルファイル
/dev/rtc に対して I/O
を行う方法である。
しかしこの方法が常に利用できるとは限らない。
そもそも rtc ドライバが
Linux
へ追加されたのは比較的最近のことである。
古いシステムには存在しない。
DEC Alpha で動作する rtc
ドライバもあるが、
このドライバが使えない
Alpha
マシンもたくさんあるようである
(症状としては hwclock
がハングする)。
古いシステムでは、ハードウェア・クロックへのアクセス方法は
システムのハードウェアに依存している。
ISA システムでは、
hwclock
は時計を構成していた「CMOS
メモリ」のレジスタに直接アクセスすることができた
(ポート 0x70 と 0x71 に I/O
を行う)。
これを行うには
hwclock
の実効ユーザー ID
がスーパーユーザーでなければならない。
(Jensen Alpha
の場合は、このような
I/O 命令を
hwclock
に実行させることはできない。
したがってこの場合はデバイススペシャルファイル
/dev/port が用いられる。
これは I/O
サブシステムへの低レベルインターフェースの
ほとんどを与えるものである。)
これは時計にアクセスする方法としては実に情けない方法である。
ユーザー空間のプログラムでは、このように直接
I/O を叩いたり、
割り込みを禁止したりすることは通常想定されていないのだから。
hwclock
でこれが使えるようにしてあるのは、
古い Linux カーネルで ISA
マシンを使う場合には、
これが唯一の方法だからである。
m68k システムでは、
hwclock
はコンソールドライバとデバイススペシャルファイル
/dev/tty1
を通して時計にアクセスすることができる。
hwclock は /dev/rtc
を用いようとする。この機能を持たないカーネル向けに
コンパイルされていたり、/dev/rtc
をオープンできない場合には、
hwclock は他の方法を
(可能であれば)
試そうとする。 ISA や Alpha
のマシンでは、
/dev/rtc
を試さずに、最初から
hwclock に CMOS
レジスタを直接操作するように強制することもできる。
これには --directisa
オプションを指定する。
通常ハードウェア・クロックはそれほど正確なものではない。
しかし、その「不正確さ」は完全に予測できるものである。
すなわち、時計は一日あたり同じ時間だけ進む(あるいは遅れる)のである。
これを規則的なずれ
(systematic drift)
と呼ぶことにする。
hwclock
の時刻合わせの機能は、この規則的なずれに対応する補正量を求め、
適用するものである。
以下に動作原理を述べる。
hwclock は
/etc/adjtime
というファイルを管理し、そこに履歴情報を保管する。
このファイルを adjtime
ファイルと呼ぶ。
adjtime
ファイルがない状態から話をはじめる。
hwclock --set
コマンドを用いてハードウェア・クロックを現在の正しい値に合わせたとする。
このとき
hwclock は adjtime
ファイルを作成し、そこに現在の時刻を「最後に時計合わせ
(calibration)
が行われた時刻」として記録する。
五日後に時計は 10
秒進んだとし、それを修正するために再び
hwclock --set
が実行されたとする。
hwclock は adjtime
ファイルを更新し、
現在の時刻を最後に時計合わせが行われた時刻として記録、
同時に 2
秒/日という値を規則的なずれの値として記録する。
24
時間が経過したときに
hwclock --adjust
コマンドを実行すると、
hwclock は adjtime
ファイルを参照し、放っておかれた時計は一日に
2 秒進むこと、
時計はちょうど一日だけ放置されていたことを読みとる。
そこで
hwclock
はハードウェア・クロックから
2
秒を差し引き、現在の時刻を時計の補正
(adjustment)
が行われた時刻として記録する。
さらに 24
時間が経過したときに
hwclock --adjust
を実行すれば、
hwclock
はまた同じことを行う。
つまり 2
秒を差し引き、現在の時刻を
adjtime
ファイルに書き込む。
(
--set または
--systohc
を用いて)
時計を合わせるごとに、
hwclock
は規則的なずれを再計算する。
このときには、最後に時計合せが行われた時点からの経過、
途中で行われた補正で用いられていたずれの量、
最後に補正を行った時刻からの経過時間などが参照される。
hwclock
が時計を設定するときには、常に小さなずれが生じる可能性がある。
これが 1
秒に満たない場合には、時計の補正量からは切り捨てられる。
後に再び補正を行う際に、このずれが蓄積して
1 秒を越えていれば、
その分はその時に補正される。
システムの起動時に
(あるいはシステムの動作中に
cron で定期的に)
hwclock --hctosys
を行う時には、常にその前に
hwclock --adjust
を行うと良いだろう。
adjtime
ファイルは、当初は修正量
(adjustments) だけを目的と
していたためにこの名前がつけられたが、現在では他の情報も書き込まれており、
hwclock
が一度起動され、次に起動されるまでにその情報を保持する。
adjtime は ASCII
ファイルであり、フォーマットは以下の通り:
一行目は三つの数値からなり、それぞれ空白で区切られる:
1)
一日あたりに生じる時刻ずれを秒で表したもの
(浮動小数点型 10 進): 2)
最後に時計合わせあるいは補正を行った時刻を
1969 UTC
からの経過秒数で表したもの
(10 進整数): 3) ゼロ (
clock(8)
との互換性のためのもの)
二行目: 数値が一つ:
最後に時計を合わせた時刻を
1969 UTC
からの経過秒数で表したもの。
時計合わせが一度もされていなかったり、以前の時計あわせに問題があった
(例えばその時計あわせ以降にハードウェア・クロックの
時刻が不正なことがわかったとか)
場合には 0 が入る。
これは 10
進の整数である。
三行目: "UTC" または
"LOCAL"。ハードウェア・クロックが
協定世界時かローカルタイム化を示す。
この値は
hwclock
にコマンドラインを指定すればいつでも上書き可能である。
以前
clock(8)
で使っていた adjtime
ファイルは
hwclock
でもそのまま使うことができる。
ハードウェアクロックを正しい値に同期させるのに、
別法が取れるようなシステムもある。
Linux カーネルには、11
分ごとにシステムクロックを
ハードウェアクロックにコピーするようなモードが存在する。
これは、何らかの洗練された方法
(ntp など)
でシステムクロックを
同期できている時には、よいモードであろう。
(ntp
とは、ネットワークのどこかにあるタイムサーバーか、システムに付属した
電波時計にシステム・クロックを同期させる手法である。RFC
1305 を見よ。)
このモード (「11
分モード」と呼ぶ)
は、何かによって有効にされるまでは
オフになっている。
例えば ntp
デーモンである xntpd は
このモードを有効にできるもののひとつである。
オフにするのも何かを実行すればよく、例えば
hwclock --hctosys
を実行して、システム・クロックを古い方法で設定すれば、11
分モードはオフになる。
モードがオンかオフかを調べるには、
adjtimex --print
コマンドを実行して
"status"
の値を見ればよい。
この数値の第 64
ビットが (2 進数表示で)
0 ならば、 11
分モードはオンになっている。
それ以外の場合はオフである。
システムが 11
分モードで動作している場合に
hwclock --adjust や
hwclock --hctosys
を実行してはならない。システムをおかしくしてしまう。
hwclock --hctosys
を起動時だけに用いるならかまわない。
これを用いれば、システム・クロックが外部の値に同期して
11
分モードが開始されるまで、システムクロックを妥当な値にできる。
その手の標準の中には、ISA
マシンの CMOS 50
バイト目を、
現在の世紀の指標として定義しているものがある。
hwclock
は、このバイトの読み書きを行わない。
なぜならこのバイトをそのようには利用していないマシンが存在するし、
いずれにしてもこれは実際には必要ないからである。
年の世紀の部分を使えば、現在の世紀を特定するには充分である。
もしこの CMOS
の世紀バイトの利用ルーチンを開発した
(したい) 方がいたら、
hwclock
のメンテナに連絡してほしい。
オプションを付加することは望ましいことであるから。
このセクションが意味を持つのは、ハードウェア・クロックに
"direct ISA"
によってアクセスしている場合だけであることに注意。
TZ
/etc/adjtime /usr/share/zoneinfo/
(古いシステムでは
/usr/lib/zoneinfo)
/dev/rtc /dev/port /dev/tty1
/proc/cpuinfo
adjtimex(8),
date(1),
gettimeofday(2),
settimeofday(2),
crontab(1),
tzset(3)
hwclock は 1996 年 9 月に Bryan Henderson
(
[email protected]) が
clock
をもとに書いた。
clock
は Charles Hendrick, Rob Hooft, Haraid Koenig
によって書かれた。
完全な履歴と謝辞はソースに書かれている。