名前

getdate, getdate_r - 日付と時刻の文字列を要素別の時刻に変換する

書式

#include <time.h>
struct tm *getdate(const char *string);
extern int getdate_err;
#include <time.h>
int getdate_r(const char *string, struct tm *res);
glibc 向けの機能検査マクロの要件 ( feature_test_macros(7) 参照):
getdate():

_XOPEN_SOURCE >= 500
 
getdate_r():
_GNU_SOURCE

説明

getdate() 関数は、 string が指すバッファーに格納された文字列表現の日付と時刻を、 要素別の時刻 (broken-down time) に変換する。 要素別の時刻は tm 構造体に格納され、この構造体へのポインターが関数の結果として返される。 この tm 構造体は静的なメモリー領域にあり、 getdate() のそれ以降の呼び出しで上書きされるかもされない。
( format 引数でフォーマットを指定する) strptime(3) とは違い、 getdate() は環境変数 DATEMSK で指定されたフルパス名のファイルに書いてあるフォーマットを用いる。
マッチの際には大文字小文字を区別しない。 パターン中でも変換される文字列中でも、余分な空白文字は無視される。
パターンに指定できる変換指定は、 strptime(3) のものと同じである。 POSIX.1-2001 では一つの変換指定が追加で規定されている。
%Z
タイムゾーンの名前。 glibc では実装されていない。
%Z が指定された場合、要素別の時刻を格納する構造体は、 指定されたタイムゾーンにおける現在時刻に対応する値で初期化される。 指定されていない場合、この構造体は現在のローカルタイムに対応する 要素別の時刻で初期化される ( localtime(3) を呼び出した場合と同じ)。
曜日だけが指定された場合、 今日または今日以降で、 その曜日に合致する最初の日が採用される。
(年なしで) 月だけが指定された場合、 今月または今月以降で、 その月に合致する最初の月が採用される。
時・分・秒がいずれも指定されなかった場合、 現在の時・分・秒が採用される。
日付の指定がなかったが、時間 (hour) だけ指定された場合は、 現在の時間またはそれ以降で、その指定に合致する最初の時間が採用される。
getdate_r() は GNU 拡張で getdate() のリエントラント版を提供している。 getdate_r() では、エラーを報告するのにグローバル変数を使用したり、 要素別の時刻を返すのに静的なバッファーを使用したりせず、 エラーを関数の返り値経由で報告し、要素別の時刻を 引数 res が指し示す呼び出し側で割り当てたバッファーに格納して返す。

返り値

成功すると、 getdate() は struct tm へのポインターを返す。 失敗すると NULL を返し、グローバル変数 getdate_err に以下に示すエラー番号のいずれか一つを設定する。 errno の変更については規定されていない。
成功すると、 getdate_r() は 0 を返す。 失敗すると、以下に示すエラー番号のいずれか一つを返す。

エラー

以下のエラーが、 ( getdate() では) getdate_err 経由で返され、 ( getdate_r() では) 関数の返り値として返される。
1
環境変数 DATEMASK が未定義、またはその値が空文字列である。
2
DATEMSK で指定されたテンプレートファイルを読み込み用にオープンできない。
3
ファイルのステータス情報が取得できない。
4
テンプレートファイルが通常のファイルでない。
5
テンプレートファイルの読み込み中にエラーが起こった。
6
メモリーの割り当てに失敗した (メモリーが足りない)。
7
入力にマッチしたファイルに、行が含まれていない。
8
入力指定が正しくない。

環境変数

DATEMSK
書式パターンを含むファイル。
TZ, LC_TIME
strptime(3) が用いる変数。

属性

この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。
インターフェース 属性
getdate() Thread safety MT-Unsafe race:getdate env locale
getdate_r() Thread safety MT-Safe env locale

準拠


POSIX.1-2001, POSIX.1-2008.

注意

POSIX.1 仕様では、 strptime(3) については %E%O といった修正子を用いた変換指定を規定しているが、 getdate() についてはこのような修飾子の規定はない。 glibc では、 getdate() は strptime(3) を用いて実装されており、 両者では全く同じ変換が両者でサポートされている。

以下のプログラムは、コマンドライン引数のそれぞれについて getdate() を呼び出し、それぞれについて返された tm 構造体のフィールド値を表示する。 次のシェルセッションは、プログラムの動作例である。

$  TFILE=$PWD/tfile
$  echo '%A' > $TFILE       # Full name of the day of the week
$  echo '%T' >> $TFILE      # ISO date (YYYY-MM-DD)
$  echo '%F' >> $TFILE      # Time (HH:MM:SS)
$  date
$  export DATEMSK=$TFILE
$  ./a.out Tuesday '2009-12-28' '12:22:33'
Sun Sep  7 06:03:36 CEST 2008
Call 1 ("Tuesday") succeeded:
    tm_sec   = 36
    tm_min   = 3
    tm_hour  = 6
    tm_mday  = 9
    tm_mon   = 8
    tm_year  = 108
    tm_wday  = 2
    tm_yday  = 252
    tm_isdst = 1
Call 2 ("2009-12-28") succeeded:
    tm_sec   = 36
    tm_min   = 3
    tm_hour  = 6
    tm_mday  = 28
    tm_mon   = 11
    tm_year  = 109
    tm_wday  = 1
    tm_yday  = 361
    tm_isdst = 0
Call 3 ("12:22:33") succeeded:
    tm_sec   = 33
    tm_min   = 22
    tm_hour  = 12
    tm_mday  = 7
    tm_mon   = 8
    tm_year  = 108
    tm_wday  = 0
    tm_yday  = 250
    tm_isdst = 1

プログラムのソース

#define _GNU_SOURCE
#include <time.h>
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
int main(int argc, char *argv[]) { struct tm *tmp;
for (int j = 1; j < argc; j++) { tmp = getdate(argv[j]);
if (tmp == NULL) { printf("Call %d failed; getdate_err = %d\n", j, getdate_err); continue; }
printf("Call %d (\"%s\") succeeded:\n", j, argv[j]); printf(" tm_sec = %d\n", tmp->tm_sec); printf(" tm_min = %d\n", tmp->tm_min); printf(" tm_hour = %d\n", tmp->tm_hour); printf(" tm_mday = %d\n", tmp->tm_mday); printf(" tm_mon = %d\n", tmp->tm_mon); printf(" tm_year = %d\n", tmp->tm_year); printf(" tm_wday = %d\n", tmp->tm_wday); printf(" tm_yday = %d\n", tmp->tm_yday); printf(" tm_isdst = %d\n", tmp->tm_isdst); }
exit(EXIT_SUCCESS); }

関連項目

time(2), localtime(3), setlocale(3), strftime(3), strptime(3)

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。

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