名前

getgrent_r, fgetgrent_r - グループファイルエントリーをリエントラント (reentrant) に取り出す

書式

#include <grp.h>
int getgrent_r(struct group *gbuf, char *buf,
               size_t buflen, struct group **gbufp);
int fgetgrent_r(FILE *stream, struct group *gbuf, char *buf,
                size_t buflen, struct group **gbufp);
glibc 向けの機能検査マクロの要件 ( feature_test_macros(7) 参照):
getgrent_r(): _GNU_SOURCE
 
fgetgrent_r():
glibc 2.19 以降:
_DEFAULT_SOURCE
glibc 2.19 以前:
_SVID_SOURCE

説明

関数 getgrent_r() と fgetgrent_r() は getgrent(3)fgetgrent(3) のリエントラント版である。 前者は、 setgrent(3) によって初期化されたストリームから、次のグループファイルのエントリーを読み込む。 後者は、 stream から次のグループファイルのエントリーを読み込む。
group 構造体は <grp.h> で以下のように定義されている:

struct group {
    char   *gr_name;        /* グループ名 */
    char   *gr_passwd;      /* グループのパスワード */
    gid_t   gr_gid;         /* グループ ID */
    char  **gr_mem;         /* グループのメンバ名へのポインター
                               の配列 (配列はヌルで終端する) */
};

この構造体のフィールドの詳細は group(5) を参照のこと。
リエントラントでない関数は静的な格納領域へのポインターを返す。 この静的な格納領域には、更にグループ名・パスワード・ メンバへのポインターが含まれる。 ここで説明されているリエントラントな関数は、 呼び出し側から提供されるバッファーにグループ名など全てを返す。 最初の引数として struct group を保持できるバッファー gbuf がある。 次にその他の文字列を保持できるサイズ buflen のバッファー buf がある。 これらの関数の結果 (ストリームから読み込まれた struct group) は、 提供されたバッファー *gbuf に格納され、この struct group へのポインターは *gbufp に返される。

返り値

成功した場合、これらの関数は 0 を返し、 * gbufpstruct group へのポインターとなる。 エラーの場合、これらの関数はエラー値を返し、 * gbufp は NULL になる。

エラー

ENOENT
次のエントリーがない。
ERANGE
十分なバッファー空間が与えられていない。 もっと大きなバッファーで再度実行すること。

属性

この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。
インターフェース 属性
getgrent_r() Thread safety MT-Unsafe race:grent locale
fgetgrent_r() Thread safety MT-Safe
 
In the above table, grent in race:grent signifies that if any of the functions setgrent(3), getgrent(3), endgrent(3), or getgrent_r() are used in parallel in different threads of a program, then data races could occur.

準拠

これらの関数は GNU 拡張であり、POSIX 版の関数 getpwnam_r(3) の形式に似せてある。 他のシステムでは以下のプロトタイプが使われている。

struct group *getgrent_r(struct group *grp, char *buf,
                         int buflen);

より良いものでは、以下のようになっている。

int getgrent_r(struct group *grp, char *buf, int buflen,
               FILE **gr_fp);

注意

関数 getgrent_r() は本当のリエントラントではない。 なぜなら、ストリームの読み込み位置を 他の全てのスレッドと共有しているためである。

#define _GNU_SOURCE
#include <grp.h>
#include <stdio.h>
#include <stdint.h>
#include <stdlib.h>
#define BUFLEN 4096
int main(void) { struct group grp; struct group *grpp; char buf[BUFLEN]; int i;
setgrent(); while (1) { i = getgrent_r(&grp, buf, sizeof(buf), &grpp); if (i) break; printf("%s (%jd):", grpp->gr_name, (intmax_t) grpp->gr_gid); for (int j = 0; ; j++) { if (grpp->gr_mem[j] == NULL) break; printf(" %s", grpp->gr_mem[j]); } printf("\n"); } endgrent(); exit(EXIT_SUCCESS); }

関連項目

fgetgrent(3), getgrent(3), getgrgid(3), getgrnam(3), putgrent(3), group(5)

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。